撮影助手育成塾便り.Vol.13-30
日本映画撮影監督協会には、技術委員会という委員会があります。様々なメーカーから生み出される新しい技術を、キャメラマンの目から見て検証、検討そして実際に撮影で使用できるものかなど、撮影者目線で研究するのが目的です。新しく生み出された技術が果たして我々に有効なものなのかは分かりません。 メンバー全員が日頃撮影を仕事として活動している中でその技術は本当に必要か、もしくは、このような改良が加えられれば有効なものになるのではないかなど、直接開発を担当する技術者に意見なども言います。撮影の歴史を振り返ると、キャメラなどの技術がキャメラマンなどの意見から改良されてきました。やはり現場で実際に使う者こそ必要なものが分かるのです。今日の授業はその技術委員会のメンバーから現場目線で今、撮影助手に必要な知識を話してもらいました。
撮影現場では多くの事を学びます。最新のデジタル技術にしても、現場で実際に作業を通じて覚えるのが一番勉強になります。とは言え、それなりの知識を持っていなければただ単に作業をしているだけで、深い意味で勉強になるとは思えません。日頃から私たち撮影監督は助手に対して「このぐらいは知っていてほしい」と思うことがよくあります。それだけ今自分が行っている作業の意味合いを知らないまま仕事をしている撮影助手が多いという事です。ただ仕事をして対価を得る為だけならそれでも良いでしょうが、将来キャメラマンとしてファインダーを覗くつもりであるなら、今積極的に必要な知識を学ばなくてはいけないでしょう。
撮影助手育成塾ではこれから新人として現場に入って行く塾生たちに順を追って教えています。高い知識は経験を重ねていく中で覚えていけば良いです。これから必要になる基礎知識さえしっかりと学び成長していくことが私たちが考える技術の伝承と思っています。


今週は元VEのお二方からビデオの時代に遡ってお話を聞く事ができ、ビデオからデジタルシネマへの移り変わりについてよく知る事ができました。今は使われていない機材のことでも、同じ映像をつくる上でどのようにその時代の人たちが工夫したり苦労してきたことを聞くのはとても興味深いです。こういったお話をいろいろな方々から伺うのは、今後何かの時につながるヒントになったりするのではないかと思います。荒川さんは録音や照明もされてきたということで、録音部の視点でお話を聞けたのも勉強になりました。絵のことだけでなく、絵と音の関係についても意識して学んでいきたいなと思うきっかけをいただきました。井上さんからは技術的なことも教わりましたが、基本を身につけたらあとは自分のこだわりをみつけていくことが大事と、多くの撮影監督と仕事をされてきた井上さんが最後にまとめた言葉は深く沁みました。
