撮影助手育成塾便り.Vol.37

『 キャメラマン講義:芦澤 明子・川上 皓市 撮影監督 』


芦澤 明子 撮影監督 本日の撮影助手育成塾は年内最後の授業です。2015年を締めくくる授業は「キャメラマン講義」。午前中は芦澤 明子 撮影監督です。映画 『岸辺の旅』 『さようなら』 など、独特の映像で数々の作品を手掛けてきた芦澤氏、「これから撮影助手として現場に入って行く君たちには先の話かもしれないけど」と言ったうえで、キャメラマンとして撮影に臨むのに大切な心構えなどを話してくださいました。映像を作るにあたって基本を踏まえた上で、狙いを考え、どのような表現をし、観客にどのように見せていくか、塾生達が将来キャメラマンになった時に考えてほしいと語っていました。デジタル全盛のこの時代、綺麗に撮るだけなら誰でもできます。しかし「綺麗な映像」とは何でしょう? 芦澤氏は、撮影者が「この作品にはこの映像」と決め、自分のイメージを形にできる知識を持ってほしいと塾生達に語っていたように思えます。機械はデジタルになり、日進月歩で進化しています。これから育つ人はどうしてもデジタルが中心となってしまいます。しかし映像を撮影できるのはデジタルだけではない事を知り、何でどのような映像が撮影できるかを学んで、自分なりの映像表現が出来るキャメラマンになってほしいと教えていました。
 川上 皓市 撮影監督 午後からは、『桜田門ノ変』 『この国の空』 を撮影された、川上 皓市 撮影監督です。授業では川上氏が撮影された 『橋のない川』(1992年公開)を上映し、塾生たちが映画を観て感じたことや質問をする形で進められました。川上氏の話は深く、劇中での何気ない台詞に隠れた深い意味を説明し、その意味を踏まえて考えるとこのアングルでの撮影になるなど、キャメラマンが映画を見せるために決めるアングルには深い意味が隠されていることなどを説明していました。映画は人間を作り上げていく仕事です。登場人物の考えや思いなどを観客に伝えるための最善の映像を作り上げます。キャメラマンはキャメラに対しての知識などの技術を身につけることが大切だと勘違いしている人が大勢います。確かにキャメラへの知識は必要ですが、細かなことは撮影助手に任せればよいこと、それよりも人間を描くために必要なことは他にあることを、川上氏は話していたように思えます。映像に隠された川上氏の考えを聞いて驚いていた塾生達も将来はキャメラマンとなる日が来ることでしょう。 機械の技術も大切ですが、人間を見つめることも撮影部にとっては大切な勉強であることも知っておくと良いでしょう。


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1207.jpg12月19日授業レポート   育成塾12期生 白川 祐介

 芦澤さんのお話の中で、カメラのスペックの向上が必ずしも作品に対する表現への向上につながるわけではないと意見がありました。解像度やノイズレスな映像、ダイナミックレンジが広い映像が撮れるカメラを映像業界が競って作って「綺麗な」映像と謳っている。その「綺麗」というのは作った会社が言っているだけであって、映像表現とはまた別の話だとおっしゃっていました。作品の表現したいことによっては8mmフィルムで撮影したり、古い機種で高感度ではノイズが出やすいカメラを使ったりする事で、その作品に合わせたものを目指して撮影をしているということでした。芦澤さんのお話を聞いていると、そういった選択がそれぞれの作品のカメラマンの最初の仕事で、撮影と同じように作品にとって重要で面白いところだなと思いました。また作品に応じた機材を選んでいく中で、本当にそれが合っているかをチェックしていくことも大事だなと思いました。
『橋のない川』では寄り画に対して気を遣ったと川上さんがおっしゃっていました。ただ物語をしっかり伝えるように撮影するのではなく、作品を作る上での監督の意図を汲んだアングルを考えなくてはいけないとおっしゃっていました。『橋のない川』では差別を題材にしながらも、差別という点を強調するより、そこで暮らす人の生き方を表現したいという監督の意図があって、寄りを多用して登場人物の気持ちに寄せすぎて差別を扱ったドラマということを強調しないように気を遣ったということでした。監督の指示だけではなく、そうしたカメラマンの意識の積み重ねが大きく作品の印象に影響してくるので、監督との対話がとても大事だなと思いました。


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